創薬企画・評価課 産学連携による次世代創薬AI開発(DAIIA)

基本情報

分野 医薬品プロジェクト
開発フェーズ 応用
お問い合わせ先
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 創薬事業部 創薬企画・評価課
「創薬支援推進事業・産学連携による次世代創薬AI開発(DAIIA)」 担当
E-mail: id3daiia”AT”amed.go.jp
備考:

※Emailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

公募情報

本事業の概要

AI(Artificial Intelligence: 人工知能)は、深層学習・生成モデル等の手法の発展、計算機の性能の向上、入手できるデータの増大等による実用性の急速な向上によりさまざまな分野で活用されており、医薬品の研究開発においても、創薬研究で最も重要な薬理活性を含めた化合物の最適化を飛躍的に効率化する技術として期待されています。
本事業では、産学連携により、AMED 創薬総合支援事業(創薬ブースター)におけるアカデミア創薬支援および企業における創薬研究の効率化に資する、AI技術を活用した創薬支援基盤の構築を目的としています。
産学が保有する生体分子群と化合物群の相互作用データ、企業の化学研究者が持つ構造最適化に関する経験知データ等、創薬研究における多面的で膨大なデータを広く集約することにより、産学で利用可能な化合物設計を可能とするAI技術を用いた統合創薬AIプラットフォームを開発します。

事業全体説明図(ポンチ絵)

実施体制

研究開発内容

本課題では、公共データおよびDAIIAに参画する製薬企業が提供するオン・オフターゲット(1)、薬物動態、毒性データを用いた、化合物プロファイル予測AI、新規化合物提案AI、オミクス情報に基づく創薬AIから構成される統合創薬AIプラットフォームを構築します。

化合物プロファイル予測AI

■統合創薬情報データベース(DB):公共データベースからの抽出データおよび企業からの提供データを用いたAI用データベースの構築。オン・オフターゲット・薬物動態・毒性の公共・企業データ、新規アッセイデータの収集。
■オン・オフターゲット・薬物動態・毒性予測AI:公共データによる予測AIの構築および評価。公共データに企業データを追加した予測AIの構築および精度検証。予測結果の不確実性定量化のための評価手法の開発。
■Federated Learning (FL: 連合学習):企業外に持ち出し不可な秘匿性の高いデータについて、それぞれの企業内でAI学習を実行し、AIモデルパラメータのみを交換することで、複数組織が協調してAIモデルを学習する仕組みの構築および実施。

新規化合物提案AI

■置換基変換、scaffold hopping(2)等の目的に応じてChemTS(3), RLS(4), XGG(5)等の複数の構造生成AIを開発
■強化学習によって、ターゲット・薬物動態・毒性等の複数の項目を同時に最適化する構造を生成する手法を開発
■医薬品らしさ、合成難易度等の予測AIを構築し、構造フィルターとして利用可能
■予測AIや構造生成AIを登録・管理する機能を実装
■ドッキング、ファーマコフォア検索、形状類似検索を強化学習の報酬スコアとして利用可能
■製薬企業の研究者の意見を取り入れた使いやすいグラフィカルユーザーインターフェイスで予測や設計を実施可能



オミクス情報等の多階層データを用いた創薬AI

■化合物応答遺伝子発現プロファイルなどオミクス情報を基に、化合物の潜在的なターゲット分子を予測するAIを開発
■オミクス情報から所望の性質を有する化合物の構造を生成するAIの開発と未知ケミカル空間の開拓

補足説明

(1)オン・オフターゲット
創薬分野では、創薬ターゲットをオンターゲット、それ以外の副作用等に関与する可能性のあるターゲットをオフターゲットと呼びます

(2)scaffold hopping
薬理作用のある化合物の中心部分にある基本骨格を変換すること

(3)ChemTS
Ishida, Shoichi, et al. "ChemTSv2: Functional molecular design using de novo molecule generator." Wiley Interdisciplinary Reviews: Computational Molecular Science (2023): e1680.

(4)RLS
ChEMBLの化合物をフラグメント化し、再結合可能な部分構造パターンに基づいて分子生成する手法

(5)XGG
遺伝的アルゴリズムに基づく構造変換手法

統合創薬AIプラットフォームの特色

  • 日本製薬工業協会(製薬協)の協力の下、DAIIA参加企業が保有する化合物情報を活用し、緊密な産学連携のもと、製薬企業の創薬現場で利用可能な予測AIを開発
  • DAIIA参加企業より化合物の構造式付きの膨大なデータ提供を受けているため、公共データのみの学習に比べて質が高く多様なデータによる学習が可能となり、AI予測モデルの予測精度、適用範囲(Applicability Domain: AD)が格段に向上
  • オン・オフターゲットは500種類以上、薬物動態・毒性は30種類以上の予測AIを構築
  • 従来の創薬で使われてきた評価項目だけではなく、オミクスデータに基づく医薬品設計を実施できる機能も開発
  • 予測AIと構造生成AIの組み合わせによってオン・オフターゲット、薬物動態・毒性のプロファイルが最適化される化合物を提案
  • Federated Learningの手法を用いて、企業所有の秘匿データを社外に持ち出すことなく、企業内でAI学習を実行、予測モデルのみを共有することで、データの秘匿と学習データの拡張を両立
  • 製薬企業、アカデミアの創薬現場のユーザーが利用しやすいグラフィカルユーザーインターフェイスのプラットフォームを構築

活動紹介

DAIIAに関連する成果(論文投稿や学会発表)や分科会活動等、DAIIAの活動を紹介しています。
以下のリンクをクリックすると本活動における研究者の論文閲覧等ができるページに移ります。

結果報告

最終更新日 令和5年11月27日