創薬企画・評価課 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業における平成27年度課題評価結果について

平成29年1月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
戦略推進部感染症研究課

平成27年度「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」の中間評価及び事後評価結果を公表します。詳細は各項目をご覧ください。

中間評価

1.中間評価の趣旨

中間評価は、研究開発課題について、情勢の変化や研究開発の進捗状況を把握し、これを基に適切な予算配分や研究開発計画の見直し、課題の中断・中止を含めた研究開発計画変更の要否の確認等を行うことにより、研究開発運営の改善及び機構の支援体制の改善に資することを目的として実施します。

新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(以下、本研究事業)では、効率的かつ効果的な研究開発を推進し、研究支援を適切に実施すること等をねらいとし、本研究事業における中間評価の評価項目及び基準に沿って、評価対象課題別に書面審査及び対面審査(研究開発初年度課題は書面審査のみ)にて中間評価を実施しました。

2.中間評価対象課題

3.中間評価委員会

開催日:平成28年1月26日

4.中間評価委員

5.評価項目

  1. 研究開発進捗状況について
  2. 研究開発成果について
  3. 実施体制
  4. 今後の見通し
  5. その他事業で定める事項
  6. 総合評価

6.総評

本研究事業では、感染症から国民及び世界の人々を守り、公衆衛生の向上に貢献するため、感染症対策の総合的な強化を目指します。そのために国内外の感染症に関する基礎研究及び基盤技術の開発から、診断法・治療法・予防法の開発等の実用化研究まで、感染症対策に資する研究開発を切れ目なく推進することとしております。

本研究事業中間評価結果について、平成27年度における評価対象課題を実施内容に基づき大きく以下のように分類(①感染症サーベイランス、病原体データベース、感染拡大防止策等の総合的な対策に資する研究、②ワクチンの実用化及び予防接種の評価に資する研究、③新興・再興感染症の検査・診断体制の確保に資する研究、④感染症に対する診断薬・治療薬の実用化に向けた研究、⑤新興・再興感染症に対する国際ネットワーク構築に資する研究)し、分類別の評価を記載いたします。

①感染症サーベイランス、病原体データベース、感染拡大防止策等の総合的な対策に資する研究

感染症サーベイランス、病原体データベース、感染拡大防止策等の総合的な対策に資する研究では、他の分野に比べ課題毎の評価結果にばらつきが認められました。高い評価を受けた課題として、薬剤耐性菌に係る感染症サーベイランス・疫学調査と基礎的な解析の連携が適切に行われていると判断されたもの、数理モデルを用いて流行が懸念される感染症の感染性や死亡リスク等を推定し、将来的な感染症対策に係る政策判断や危機管理対応に有用な成果が期待されると判断されたもの等が含まれていました。一方で、比較的評価が低い課題には、研究開発全体の方向性が絞られておらず各研究開発分担者の活動がバラバラにならないように体制構築が必要と判断されたもの、将来的には期待されるものの現時点ではまだ十分な成果が得られているとは言えないものがあり、それらの課題については次年度での改善や進展が期待されるとのコメントがありました。

②ワクチンの実用化及び予防接種の評価に資する研究

ワクチンの実用化及び予防接種の評価に資する研究では、期待以上の進展が認められると評価された課題と、研究にやや遅れがあると評価された課題に大きく二極化する傾向が認められました。高い評価を受けた課題として、未だ効果的な治療薬やワクチンがない感染症に対するワクチン開発を行い、候補ワクチンの霊長類モデルにおける防御効果を示したもの、国内で実施される予防接種の効果について検討を行い、各ワクチンの効果・副反応等の検証に資する有用なサーベイランス情報を得たと判断されたもの等が含まれていました。一方で、比較的評価が低い課題には、当初計画に対して研究の遅れが認められたもの、研究開発の成果に乏しいと判断されたものがあり、それらの課題の一部については次年度以降の計画も踏まえた上で研究開発費の減額が適当との判断がなされました。

③新興・再興感染症の検査・診断体制の確保に資する研究

新興・再興感染症の検査・診断体制の確保に資する研究では、一部で計画立案が十分でないと判断された課題があるものの、概ね期待通りの進展が認められました。比較的高い評価を受けた課題として、新型インフルエンザについて関連学会と連携した診療ガイドラインの作成が進展しているもの、既存の方法よりも簡便な迅速診断法を開発するとともに臨床現場における検証等が開始される等、研究開発が進展しており次年度の成果が期待されるとされたもの等がありました。

④感染症に対する診断薬・治療薬の実用化に向けた研究

感染症に対する診断薬・治療薬等の実用化に向けた研究では、ほとんどの研究開発課題において概ね期待以上の進展が認められると評価されました。特に高い評価を受けた課題として、日本国内においても喫緊な対策が求められる昆虫媒介ウイルス感染症について診断法開発や診療ガイドライン等作成が進展しており、主要雑誌への多くの論文発表等の成果も得られたものがありました。

⑤新興・再興感染症に対する国際ネットワーク構築に資する研究

新興・再興感染症に対する国際ネットワーク構築に資する研究では、該当する課題についてアジアの複数地域における国立感染症研究機関等との連携強化が着実に行われる等、期待以上の進展が認められると評価されました。評価委員会では、当初の目的に向けて順調に進展しているとの非常に高い評価が得られており、今後はさらに多国間連携も含めた国際ネットワークの強化を期待したいとの意見がありました。

以上より、得られた研究成果は本研究事業の趣旨に相応しく、また進捗も研究継続するに適うと評価され、今回中間評価の対象となった35課題全てを平成28年度も継続することとしました。

事後評価

1.事後評価の趣旨

事後評価は、研究開発の実施状況、研究開発成果等を明らかにし、今後の研究開発成果等の展開及び事業運営の改善に資することを目的として実施します。

新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(以下、本研究事業)では、評価委員会を以下の日程で開催し、本研究事業における事後評価の評価項目に沿って、評価対象課題別に書面審査及び対面審査にて事後評価を実施しました。 

2.事後評価対象課題

3.事後評価委員会

開催日:平成28年1月26日

4.事後評価委員

5.評価項目

  1. 研究開発達成状況について
  2. 研究開発成果について
  3. 実施体制
  4. 今後の見通し
  5. その後事業で定める事項
  6. 総合評価

6.総評

本研究事業では、感染症から国民及び世界の人々を守り、公衆衛生の向上に貢献するため、感染症対策の総合的な強化を目指します。そのために国内外の感染症に関する基礎研究及び基盤技術の開発から、診断法・治療法・予防法の開発等の実用化研究まで、感染症対策に資する研究開発を切れ目なく推進することとしております。

本研究事業事後評価結果について、平成27年度における評価対象課題を実施内容に基づき大きく以下のように分類(①感染症サーベイランス、病原体データベース、感染拡大防止策等の総合的な対策に資する研究、②ワクチンの実用化及び予防接種の評価に資する研究、③新興・再興感染症の検査・診断体制の確保に資する研究、④感染症に対する診断薬・治療薬の実用化に向けた研究)し、分類別の評価を記載いたします。 

①感染症サーベイランス、病原体データベース、感染拡大防止策等の総合的な対策に資する研究

感染症サーベイランス、病原体データベース、感染拡大防止策等の総合的な対策に資する研究では、他の分野に比べ課題毎の成果の評価結果にばらつきが認められました。高い評価を受けた課題として、病原体ゲノム解析法を利用した全国的な研究ネットワークが構築され、感染症対策に資する技術開発とその現場還元の両面で前進が認められると判断されたもの、小児肝移植患者におけるワクチン接種の有効性及び安全性を後方視的介入及び前方視的介入により検証し、政策提言や関連学会のガイドラインに反映される成果を得たもの等が含まれていました。一方で、基礎研究においてある程度の成果が得られているが3年間での論文発表が十分ではないものに関しては評価が低い結果となりましたが、当初計画での目標に対する有用な成果も認められ、3年間の研究を通した総合評価として一定の成果が得られたとの評価がなされました。

②ワクチンの実用化及び予防接種の評価に資する研究 

ワクチンの実用化及び予防接種の評価に資する研究では、一部評価に差が認められましたが、多くの課題においては期待通りの成果が認められると評価されました。高い評価を受けた課題として、ワクチンで予防可能な疾患に対する臨床疫学的な研究の成果が関連ガイドラインや厚生労働省所管の委員会等へ利活用されたもの、経鼻インフルエンザワクチン開発について関連する重要な論文発表を行うとともに、開発したワクチン候補の治験に係る成果が得られたもの等が含まれていました。一方で、基礎研究において貴重な成績が得られているものの、論文発表又は学会等での発表が十分でないものに関しては比較的評価が低く、研究成果としてはやや不十分とのコメントも認められましたが、若手研究者のキャリアパス支援が図られたこと等については一定の評価がなされました。

③新興・再興感染症の検査・診断体制の確保に資する研究

新興・再興感染症の検査・診断体制の確保に資する研究では、全ての課題で期待以上の成果が認められたと評価されました。その中でも、麻しんに対するオールジャパンでの検査体制強化及び国の特定感染症予防指針の目標(WHOからの麻しん排除認定)達成に貢献する成果が得られたものについては、我が国の感染症対策の強化に大きな役割を果たした優れた研究開発であったと高く評価されました。

④感染症に対する診断薬・治療薬の実用化に向けた研究

感染症に対する診断薬・治療薬等の実用化に向けた研究では、期待以上の進展が認められたと評価された課題と、成果や進展が期待通りにはやや得られなかったと評価された課題に評価が二極化する傾向が認められました。特に高い評価を受けた課題として、エンテロウイルス属を中心としたウイルス感染症についてレベルの高い基礎研究の成果が得られ、主要雑誌での論文発表の実績が認められたもの、国内において喫緊の対策が求められるマダニ媒介性感染症に対し、感染予防、診断、治療などに有用な、幅広い基礎研究成果が得られたものがありました。一方で、一部の課題において、治療薬開発を目指した研究であるが今後の実用化に向けた道筋が明確でないあるいは基礎的な研究として一定の成果が得られているが論文発表等の成果が十分ではない等のコメントがなされ、比較的評価の低い課題も認められました。しかしながら、それらの課題については採択当時に厚生労働科学研究費補助金<若手育成型>の枠組みで採択された課題が多く、他の課題に比べ小規模な研究開発費及び研究実施体制で行われたことや若手研究者の活用や育成も目的として採択された課題であったこと等もふまえ、総合評価として当初目的に対する一定の成果は得られたとの評価がなされました。

以上の評価委員会での評価から、今後の本研究事業の方向性として、引き続き我が国の感染症対策において重要な基礎研究・応用研究を共に推進するとともに、感染症研究に携わる若手研究者の育成も推進していきます。また、刻々と変化する感染症の状況に柔軟に対応し、幅広い感染症を視野に入れた研究開発を推進していきます。

最終更新日 平成29年2月1日