医療技術研究開発課 移植医療技術開発研究事業における令和3年度 課題評価結果について

令和3年度「移植医療技術開発研究事業(以下、本研究事業)」の事後評価結果を公表します。

事後評価

1.事後評価の趣旨

事後評価は、課題等について、研究開発の実施状況、研究開発成果等を明らかにし、今後の研究開発成果等の展開及び事業等の運営の改善に資することを目的として実施します。

本研究事業では、評価委員会を以下の日程で開催し、本研究事業における事後評価の評価項目に沿って、評価対象課題別に書面審査にて評価を実施しました。

2.事後評価委員会

開催日:令和4年2月4日(金)

3.事後評価対象課題

4.事後評価委員

5.評価項目

  • 研究開発達成状況
  • 研究開発成果
  • 実施体制
  • 今後の見通し
  • 事業で定める項目及び総合的に勘案すべき項目
  • 総合評価

6.総評

臓器移植では「臓器の移植に関する法律」、造血幹細胞移植では「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」により、安全かつ公平な移植医療の実施が求められています。

本研究事業は、造血幹細胞移植、臓器移植および組織移植について、これまでの研究により得られた知見を生かし、ドナー・患者双方の安全性確保や治療成績向上、長期生存率の上昇のための治療法開発並びに合併症対策につながる研究の推進を目標としています。

評価委員会では、今年度で終了する3課題(造血幹細胞移植分野1課題と臓器移植分野2課題)を対象としました。

同種造血細胞移植後の再発白血病に対する新規アロ養子免疫療法の開発研究では抗原特異的T細胞誘導法と一部の同種抗原特異性T細胞のクローニング等の技術を確立し、研究開発成果を論文、特許申請に繋げたことから、総合的に計画した成果が得られたと評価されました。

臓器移植を革新する免疫プロファイリングによる個別化医療の開発ではCTSE-MLRによる臓器移植後の免疫モニタリングの有益性を示し、検査会社への技術移管と相同性試験により多くの医療機関で利用可能な体制を構築したことから、総合的に計画した成果が得られたと評価されました。

遺伝子関連情報の解析を用いた臓器移植に関わる個別化医療に関する研究では心筋生検標本から遺伝子を抽出する独自の方法を開発し、移植心及びレシピエント由来の血液等に対する多層オミックス解析から拒絶・感染症に対する免疫応答等に関わる因子を同定するシステムが構築されました。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、解析症例数が不足したことから、免疫抑制療法の個別化につながる遺伝子変異の同定、免疫抑制薬の投与量設定プロトコールの構築に対する進捗の遅れを認めたことで、計画した成果と同程度の成果が得られた部分もあるが、下回る成果の部分もあったと評価されました。

最終更新日 令和4年5月6日