疾患基礎研究課 平成31年(令和元年)度「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」中間評価結果について

令和元年9月
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
戦略推進部脳と心の研究課

平成31年(令和元年)度「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」の中間評価結果を公表します。

1.中間評価の趣旨

中間評価は、各課題等の情勢の変化や研究開発の進捗状況等から、各課題等の推進に当たって必要な場合には、中断・中止を含めた研究開発計画の見直し等を行うことにより、今後の研究開発及び事業の運営の改善に資することを目的として実施します。
脳とこころの健康大国プロジェクトでは、本事業における中間評価の評価項目に沿って、評価対象課題別に課題評価委員会において中間評価を実施しました。

2.中間評価対象課題

平成31年(令和元年)度 中間評価対象課題(12課題)
開始
年度
終了
年度
研究開発代表者 研究開発機関名 研究開発課題名
2017 2020 大木研一 東京大学 マーモセット脳のマルチモーダル・マルチスケール機能マッピングと超微細レベルの機能マッピング技術の開発
2017 2020 上田泰己 東京大学 マーモセット脳の3次元観察・解析に資する基盤技術開発
2017 2020 南部篤 自然科学研究機構 マルチスケール・マルチモーダルマップ法によるマーモセット脳の構造・機能解析
2017 2020 小林和人 福島県立医科大学 経路選択的な標識・操作技術を応用したマーモセット大脳皮質-基底核ネットワークの構造・機能マッピング
2017 2020 篠原隆司 京都大学 オス生殖細胞を用いた遺伝子改変霊長類作成技術の開発
2017 2020 今井猛 九州大学 神経回路自動再構築のための超多色標識法の開発
2017 2020 日置寛之 順天堂大学 透明化技術を基軸とした全脳レベルから超微細構造レベルへのズームイン法の確立
2017 2020 平井宏和 群馬大学 アデノ随伴ウィルスベクターを用いた生体マーモセット中枢神経系の細胞種特異的遺伝子ノックダウン/ノックアウト法の開発
2017 2020 小坂田文隆 名古屋大学 マーモセットコネクトーム解析のための神経回路トレーシングシステムの開発
2017 2020 坂本雅行 東京大学 神経活動計測・操作を実現する革新的な全光型電気生理学的手法の開発
2017 2020 橋本均 大阪大学 霊長類脳の高速・高精細全脳イメージング技術の開発
2017 2020 林(高木)朗子 群馬大学 精神疾患の神経回路異常の解明にむけた革新的な機能的コネクトミクス法の開発

3. 課題評価委員会

令和元年8月22日(木)

4. 評価項目

  1. 研究開発進捗状況
  2. 研究開発成果
  3. 実施体制
  4. 今後の見通し
  5. 事業で定める項目及び総合的に勘案すべき項目
  6. 総合評価

5.総評

革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクトでは、オールジャパン体制で脳科学研究を加速させることにより、世界に先駆けた精神・神経疾患の克服や情報処理理論の高度化につなげるための基盤を構築します。
神経細胞がどのように神経回路を形成し、どのように情報処理を行うことによって全体性の高い脳の機能を実現しているかについて、我が国が強みを持つ技術を活かして、その全容を明らかにし、精神・神経疾患の克服につながるヒトの高次脳機能の解明のための基盤を構築することを目的として実施しています。
今回の中間評価では、平成29年度公募の技術開発個別課題(新技術創出)12課題の進捗が確認され、12課題全てについて、計画通り進捗が認められるとの評価がなされました。
特に、脳の高次機能を測定するための新規な技術開発や、その技術を生体に適応する研究において、全ての課題で半数を超える目標が達成されつつあり、新たな発見がなされています。本プロジェクトでは、ヒトの高次機能解明の基盤として、非ヒト霊長類であるマーモセットを用いた課題が多く採択されており、今回12課題中11課題においてマーモセットでの検証が計画されていますが、一部の研究については、マーモセットを用いた研究に習熟している他の研究者の支援の必要性が指摘されました。また、研究項目及び目標が多岐にわたり力の分散が懸念される研究開発計画については、目標を絞り込む必要性が指摘されました。
研究開発の最終年度である令和2年度末までに目標が達成されるよう、評価結果を研究者にフィードバックすることで、今後、研究体制の変更・強化を予定しています。

最終更新日 令和元年9月30日