第一期中長期計画期間におけるプロジェクト 「医と食をつなげる新規メカニズムの解明と病態制御法の開発」における平成30年度 課題評価結果について

平成30年度「医と食をつなげる新規メカニズムの解明と病態制御法の開発」の事後評価結果を公表します。

事後評価

1.事後評価の趣旨

事後評価は、課題等について、研究開発の実施状況、研究開発成果等を明らかにし、今後の研究開発成果等の展開及び事業等の運営の改善に資することを目的として実施します。

「医と食をつなげる新規メカニズムの解明と病態制御法の開発」では、評価委員会を以下の日程で開催し、本研究事業における事後評価の評価項目に沿って、評価対象課題別に書面審査およびヒアリング審査にて事後評価を実施しました。

2.事後評価委員会

開催日:平成30年11月7日

3.事後評価対象課題

  • 革新的がん医療実用化研究事業(1課題)
  • 難治性疾患実用化研究事業(3課題)
  • 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(1課題)
開始
年度
終了
年度
分野 事業 研究代表者 所属 研究開発課題名
28 30 難治 谷内田 真一 国立研究開発法人国立がん研究センター 生体試料(糞便や腸管粘膜等)のサンプリング法や解析法(特にメタゲノムならびにメタボローム解析)の標準化と臨床情報を含む統合的情報基盤の構築
28 30 2-1 革新がん 渡辺 賢二 静岡県立大学 腸内細菌由来新規大腸発がんリスク因子を制御する食事要因の解明
28 30 2-2 難治 山村 隆 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 多発性硬化症の予防・病態改善・治療を目指した常在細菌叢ー免疫系ー神経系相互連関の研究
28 30 2-2 難治 岡本 隆一 東京医科歯科大学 炎症性腸疾患における食関連リスク因子に関する研究
28 30 2-3 循環器 村上 晴香 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 食-腸-医をつなぐ生活習慣病の新規メカニズムの解明と腸内細菌叢やその代謝産物に着目した病態制御法の開発

(分野番号順)

4.事後評価委員 

氏名 所属・役職※
荒戸 照世 北海道大学 大学院医学研究科連携研究センター 教授
嘉田 晃子 名古屋医療センター 臨床研究センター生物統計研究室 室長
合田  敏尚 静岡県立大学副学長 食品栄養科学部 教授
田村 和夫 福岡大学 医学部総合医学研究センター 教授
茂呂 和世 理化学研究所統合生命医科学研究センター 自然免疫システム研究チーム チームリーダー

※所属・役職は評価時点のもの
(敬称略 五十音順)

5.評価項目

  • 研究開発進捗状況
  • 研究開発成果
  • 実施体制
  • 今後の見通し
  • 事業で定める項目及び総合的に勘案すべき項目
  • 総合評価

6.総評

「医と食をつなげる新規メカニズムの解明と病態制御法の開発」は、従来の単一臓器に注目した医療のみならず、臓器連関、バリア臓器をキーワードに、医と食をつなげる新規メカニズムの解明と病態制御法の開発を行うことを目標としています。

口腔、食道、胃、小腸、大腸などのバリア臓器が、多臓器との密接な相互関係の中で、生活習慣病、冠動脈疾患、脳血管疾患、難病、がん、などの様々な疾患の発症・進展と関連しているという考え方は、「臓器連関」というコンセプトを通じ、革新的な予防法、治療法の開発が期待される領域の1つです。また、バリア臓器は生体内で最大の免疫・末梢血管・末梢神経・ホルモン組織を有し、生体内の恒常性維持において重要な役割を担っていると考えられており、本研究領域は、近年になり急速に発展してきています。
評価委員会では、平成30年度終了の5課題の事後評価を行いました。総じて概ね進捗は良好である、10年後を見越したシーズ発掘を目指すことであるので、少なくとも発見されたシーズを治療法へ発展させてほしい、との評価に至りました。

評価委員会でのコメントは以下の3点でした。

  • 腸内細菌叢以外に口腔内細菌叢や小腸の粘膜付着菌、バリア臓器と栄養素の代謝系等から得られる新しい知見も期待しましたが、腸内細菌叢そのものを扱った課題が多いものでした。
  • 海外では、データの採取方法、測定方法が統一化されていることで優れた成果につながっています。本事業では当初より各研究者独自の手法等を統一する必要性があった点に苦労がありました。
  • 収集した生体試料、食に関するアンケートの情報、解析方法に関する検討事項等、プロジェクトとして得た財産を今後どの様にしていくか、非常に重要です。

最終更新日 平成31年3月28日